この記事は採用代行(RPO)の外部委託を検討していて、いくらかかるのか、提示された金額が妥当なのかを知りたいという方に向けた内容です。
この記事では、料金体系の4類型、月額のレンジを決めている構造、他の手段との時給換算比較、100時間の業務内訳、見積書で確認する項目、損益分岐点の計算式を扱います。
本記事の市場データは、厚生労働省の統計を中心とした公開情報に基づきます。当社の目安値を用いる箇所は明記します。金額の税の扱い(税込/税別)は出典ごとに異なるため注記します。
なぜ「相場」で調べてもRPO費用は出てこないのか
採用代行(RPO)の費用を検索しても具体的な金額が出てこないのは、月額の金額が「何時間分の稼働を含むか」と「どの業務を含むか」で決まり、その2つが会社ごとにも案件ごとにも異なるためです。金額そのものには、比較できる形の共通単位がありません。
人材紹介であれば、手数料は理論年収に対する料率で決まるため、料率さえ分かれば金額を比較できます。人材派遣であれば、時給に稼働時間を掛けたものが料金です。いずれも共通の単位を持っています。
採用代行(RPO)にはこの共通単位がありません。「月額30万円」という提示だけでは、それが月に何時間の稼働なのか、その時間に何の業務が含まれるのかが分かりません。金額を比較する前に、単位を揃える必要があります。
内部リンク:そもそも採用代行(RPO)を選ぶべきかどうかは、採用代行(RPO)・人材紹介・人材派遣・採用コンサルの違いで扱っています。
料金体系の4類型と、発注側が負うリスク
採用代行(RPO)の料金体系は、月額固定型・従量課金型・成功報酬型・ハイブリッド型の4類型に分かれます。類型ごとに、発注側が負うリスクの種類が変わります。
まず用語を定義します。月額固定型とは、あらかじめ定めた業務範囲と稼働時間に対して、毎月一定額を支払う料金体系です。従量課金型とは、スカウト送信数や書類確認数などの作業量に応じて費用が変動する料金体系です。成功報酬型とは、採用が成立した時点で費用が発生する料金体系です。
以下は、4類型と発注側が負うリスクを整理したものです。
| 料金体系 | 費用が発生する対象 | 発注側が負うリスク | 向く場面 |
|---|---|---|---|
| 月額固定型 | 合意した業務範囲の遂行 | 稼働が想定を下回っても金額は変わらない。未消化のリスク | 採用計画が定まっており、継続的に業務量がある |
| 従量課金型 | 実際の作業量(送信数・確認数など) | 業務量が増えると費用が青天井になりうる。変動のリスク | 業務量の変動が大きく、繁閑差がある |
| 成功報酬型 | 採用の成立 | 成果の定義次第で、意図しない時点で費用が発生する。定義のリスク | 単発・特定ポジションの充足 ※RPOではそもそもこのタイプは少ない |
| ハイブリッド型 | 月額+成果連動の組み合わせ | 2つの体系の確認事項を両方負う。複雑さのリスク | 母集団形成と成立の両方に責任を持たせたい |
IMG-03-1 採用代行(RPO)の料金体系4類型と、発注側が負うリスク

⚠️ よくある勘違い
「成果報酬型のほうがリスクが低い」と考えられがちですが、成果の定義次第で逆転します。なぜなら、成果報酬型で費用が発生する「成果」が、入社の成立なのか、内定の承諾なのか、面接の設定なのか、応募数なのかによって、発注側が負う金額が大きく変わるためです。面接設定を成果と定義した契約では、採用に至らなくても費用が積み上がります。
ではどうするか。成果報酬型の見積を受け取ったら、次の3点を確認してください。(1) 何をもって成果とするか(入社日か、内定承諾日か、それより前か)。(2) 早期退職が発生した場合の返金規定があるか、ある場合は期間と割合はどうか。(3) 同一候補者が複数経路から来た場合、どちらの成果として扱うか。この3点が書面にない成功報酬型は、金額の多寡にかかわらず評価できません。
月額のレンジを決めているのは「稼働時間」
採用代行(RPO)の月額を決めているのは、業務の種類ではなく稼働時間です。月額を稼働時間で割った時間単価が、比較のための共通単位になります。
稼働時間とは、契約で定めた業務に受託者が費やす時間です。何を含み何を含まないか(打ち合わせの時間、移動の時間、レポート作成の時間など)は契約で定めるものであり、業界共通の定義はありません。
比較の手順は次のとおりです。
- 提示された月額を、契約上の稼働時間で割る:これが時間単価です。
- 稼働時間の定義を確認する:打ち合わせやレポート作成が稼働時間に含まれるかどうかで、実質の単価が変わります。
- 超過した場合の単価を確認する:稼働時間を超えた分がどう扱われるか(追加請求か、翌月繰り越しか、対応しないか)を確認します。
同じ「月額30万円」でも、稼働50時間なら時間単価6,000円、稼働100時間なら3,000円です。金額だけを並べても比較にならない理由がここにあります。
何と比べるか:他の手段の費用水準
採用代行(RPO)の費用は、単独では評価できません。人材派遣・人材紹介・自社の採用担当の人件費という3つの選択肢と、同じ土俵で比べる必要があります。
以下は、公開されている統計をもとにした、各手段の費用水準です。
| 手段 | 費用水準 | 単位定義 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 人材派遣(派遣先が支払う料金) | 8時間換算 26,257円(対前年度比 +3.6%)=時間あたり約3,282円。消費税を含む額 | 1日8時間換算・令和6年度 | 厚生労働省「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」[1] |
| 自社の採用担当・面接官の人件費 | 3,125円/時間 | 人件費500万円で月160時間労働換算の場合 | – |
| RPO企業A | 5600円/時間 | 50万円/90時間から算出 | サービスサイト |
| RPO企業B | 7143円/時間 | 25万円/35時間から算出 | サービスサイト |
| RPO企業C | 算出不可 | 月額10万円だが、稼働時間数明記なし | サービスサイト |
| 弊社 とくもり採用代行 |
ミニマム:4000円ライト:4000円ベーシック:3500円 | ミニマム:10万円25時間から算出ライト:20万円/50時間から算出ベーシック:35万円/100時間から算出 | 弊社サービスサイト |
この表の読み方について、3点ご注意ください。
- 派遣料金は消費税を含む額です(出典資料の注記による)[1]。
IMG-02-1 手段別の時間あたり費用水準

時給換算で比べるときに外してはいけない視点
時給換算は単位を揃えるための手段であって、安い順に選ぶための指標ではありません。同じ1時間で出力されるものが、手段ごとに違うためです。
人材派遣の1時間(派遣先が支払う料金で約3,282円・消費税込〈令和6年度〉[1])で出力されるのは、指示された作業の遂行です。指揮命令は発注者が持つため、何をどう進めるかは発注者が決めます。改善の提案は契約に含まれません。
自社の採用担当の1時間で出力されるのは、判断を含む業務です。
ただし、その時間は他の業務に使えなくなります。
採用代行(RPO)の1時間で出力されるものは、契約した業務範囲によって変わります。実動のみを委託する契約と、設計から委託する契約では、同じ1時間の意味が異なります。
⚠️ よくある勘違い
「時給換算が安いほうが得」と考えられがちですが、出力量の定義がないと比較になりません。なぜなら、時間単価は「1時間あたりいくら払うか」を示すだけで、「1時間で何が出てくるか」を示さないためです。単価の安い契約で、スカウト送信数が半分しか出ないなら、1通あたりの費用は高くなります。
ではどうするか。時間単価を出したあとに、もう1段割ってください。スカウトなら1通あたり、書類選考なら1名あたりの費用です。この単位まで下ろすと、単価の安い契約が本当に安いのかが判断できます。さらに、フリーランスへの業務委託と比較する場合は、発注側にも義務が生じる点に注意してください。フリーランス・事業者間取引適正化等法(2024年11月施行)により、取引条件の明示や支払期日の設定などが求められます[4]。単価の比較だけでは判断を誤ります。

見積書で必ず確認する8項目
見積書で確認するのは金額ではなく、金額の前提です。以下の8項目のうち、書面にないものがあれば質問してください。
以下は、見積書で確認する8項目です。
| # | 確認項目 | 書かれていない場合に起きること |
|---|---|---|
| 1 | 稼働時間の定義(何を含み、何を含まないか) | 実質単価が想定より高くなる |
| 2 | 超過時の扱い(追加請求/繰り越し/対応しない) | 繁忙期に業務が止まる |
| 3 | 初期費用の有無と内訳 | 初月の支払額が想定を超える |
| 4 | 最低契約期間と、期間内解約時の扱い | 途中で止められない |
| 5 | 成果報酬の有無と、成果の定義 | 想定しない時点で費用が発生する |
| 6 | レポーティングの頻度と項目 | 何が行われたか分からないまま費用だけが発生する |
会社を選ぶ段階の比較軸は、採用代行(RPO)の選び方15項目で扱っています。
「安い採用代行」で起きること
月額の安い採用代行で実際に起きるのは、多くの場合、品質の低下ではなく対応範囲の縮小です。契約書と見積書の業務範囲の欄を見れば、発注前に判別できます。
同じ「採用代行」という名称でも、月額が低い契約では、含まれる業務が絞られています。スカウトの送信は含まれるが対象の定義は含まれない、書類選考の一次判定は含まれるが基準の設計は含まれない、といった形です。業務の質が落ちるのではなく、担う工程が減っています。
判別の方法は、応募から入社までの工程を書き出し、各工程が見積の業務範囲に含まれるかを1つずつ確認することです。含まれない工程は自社に残ります。自社に残った工程の時間を人件費に換算して、外部委託の費用に足したものが、実際の総額です。
まとめ
採用代行(RPO)の月額を決めているのは稼働時間です。月額を稼働時間で割った時間単価が、比較のための共通単位になります。ただし時間単価は安い順に選ぶための指標ではなく、その時間で何が出力されるかとセットで見る必要があります。
この記事の結論は4点です。
- 料金体系は4類型あり、類型ごとに発注側が負うリスクが違います。月額固定型は未消化、従量課金型は変動、成功報酬型は成果の定義、ハイブリッド型は複雑さのリスクを負います。
- 見積書で最初に見るのは金額ではなく、稼働時間の定義です。同じ100時間でも、打ち合わせやレポート作成が含まれるかで実質単価が変わります。
- 時間単価は、もう1段割って使ってください。スカウトなら1通あたり、書類選考なら1名あたりの費用まで下ろすと、安い契約が本当に安いのかが判断できます。
- 損益分岐点は、人材紹介の手数料を基準に計算します。採用代行の費用総額を、人材紹介の1名あたり手数料(理論年収の30〜35%が一般的な水準)で割った値が、回収に必要な採用人数です。
出典一覧
[1] 厚生労働省「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」2026年3月31日公表 https://www.mhlw.go.jp/content/001684019.pdf / 掲載ページ:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000079194.html
[2] 人材紹介の手数料率(理論年収の35%、ハイクラス領域40〜50%)は、複数の人材紹介事業者の公表値に基づく当社が確認している目安値です〈2026年時点・当社調べ〉。
[3] 採用担当・面接官の内部人件費の時給換算(1,500〜3,000円、労働生産性換算3,800〜6,000円)は、算定方法の目安です〈2026年時点・当社調べ〉。
[4] 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法/令和五年法律第二十五号)第三条(特定受託事業者の給付の内容その他の事項の明示等)/第四条(報酬の支払期日等) e-Gov法令検索(デジタル庁) https://laws.e-gov.go.jp/law/505AC0000000025
[5] 不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法・昭和三十七年法律第百三十四号)第五条(不当な表示の禁止)第一項第二号(有利誤認)/第七条第二項 e-Gov法令検索(デジタル庁) https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000134 ※本文での参照箇所:当社プランの価格表示(税別の明示)。