採用代行(RPO)・人材紹介・人材派遣・採用コンサルの違い|自社に合う外部活用の選び方

この記事では、採用代行(RPO)・人材紹介・人材派遣・採用コンサルティングの4つの手段を7つの軸で比較し、違いを構造で示します。 あわせて、自社の課題からどの手段を選ぶかを決める判断フローチャートと、外部活用の出口設計までを扱います。外部活用の方針を、上司や経営層に説明できる形で持ち帰りたい方に向けた記事です。 採用の外部活用には、採用代行(RPO)・人材紹介・人材派遣・採用コンサルティングの4つの手段があります。4つの手段は「何をアウ…

コラム・ナレッジ

この記事では、採用代行(RPO)・人材紹介・人材派遣・採用コンサルティングの4つの手段を7つの軸で比較し、違いを構造で示します。
あわせて、自社の課題からどの手段を選ぶかを決める判断フローチャートと、外部活用の出口設計までを扱います。外部活用の方針を、上司や経営層に説明できる形で持ち帰りたい方に向けた記事です。

採用代行(RPO)・人材紹介・人材派遣・採用コンサルは、それぞれ何を委託するサービスか

採用の外部活用には、採用代行(RPO)・人材紹介・人材派遣・採用コンサルティングの4つの手段があります。4つの手段は「何をアウトソースするか」で分かれます。採用代行(RPO)は採用実務の遂行を、人材紹介は候補者そのものを、人材派遣は労働力を、採用コンサルティングは採用の設計と助言をアウトソースするサービスです。

何を委託するのかの違いは、費用の発生の仕方にも、採用が決まらなかったときの責任の持ち方にも表れます。外部活用が検討される背景にある採用市場の構造は、採用ができない本当の理由(2026年市場データ)で扱っています。

以下は、4つの手段で「何をアウトソースすることになるのか」を整理したものです。

手段 何をアウトソースするか 実行するのは誰か
採用代行(RPO) 採用実務の遂行 委託先
人材紹介 候補者そのもの 自社(選考の運用は自社に残る)
人材派遣 労働力 派遣スタッフ(指揮命令は自社)
採用コンサルティング 採用の設計と助言 自社

RPO(採用代行)とは

RPO(採用代行)とは、企業の採用活動の一部または全部を外部の専門会社に委託することです。委託する範囲は、母集団形成・スカウト送信・応募者対応・日程調整・面接同席・選考プロセスの設計などから、企業ごとに定めます。採用代行(RPO)でアウトソースするのは、採用実務を遂行する体制です。
直近の RPO では採用設計や戦略策定まで行う企業も少なくありません。

人材紹介(職業紹介事業)とは

人材紹介(職業紹介事業)とは、求人企業と求職者の間に立ち、雇用関係の成立をあっせんするサービスです。人材紹介で買うのは、候補者そのものです。採用実務を代行する契約ではないため、面接の設定や選考の運用は求人企業側に残ります。

人材派遣(労働者派遣)とは

人材派遣(労働者派遣)とは、派遣会社が雇用する労働者を、派遣先企業の指揮命令のもとで働かせる仕組みです。人材派遣でアウトソースするのは、自社の指揮命令のもとで動く労働力です。採用業務では、応募者対応や日程調整といった定型業務の担い手を確保する使い方が中心になります。

採用コンサルティングとは

採用コンサルティングとは、採用の戦略・設計・運用方法について助言を行い、企業自身が実行できる状態をつくるサービスです。採用コンサルティングでアウトソースするのは、設計と助言です。採用要件の言語化や選考フローの再設計が対象となり、実行は原則として企業側が担います。


4つの手段は、どの軸で比べれば違いが分かるのか

採用代行(RPO)・人材紹介・人材派遣・採用コンサルティングの4つの手段は、7つの軸で比べると違いが見えます。7つの軸とは〈①費用の発生タイミング/②成果責任の所在/③自社にナレッジが残るか/④立ち上がり速度/⑤向く採用規模/⑥向く課題の型/⑦法的な立て付けと契約形態〉です。費用の高い・安いだけで比べると判断を誤ります。

7つの比較軸の一覧

7つの軸が何を意味するかを、1行ずつ整理します。

  • ①費用の発生タイミング:何に対してお金が発生するか(業務の遂行か、入社の成立か、稼働時間か)
  • ②成果責任の所在:採用が決まらなかったとき、誰が損をするか
  • ③自社にナレッジが残るか:契約が終わったあとに、社内に何が残るか
  • ④立ち上がり速度:発注してから実際に動き出すまでの速さ
  • ⑤向く採用規模:継続的な採用に向くか、単発の採用に向くか
  • ⑥向く課題の型:〈工数が足りない/やり方が分からない/今すぐ即戦力が必要/定型作業の人手が足りない〉のどれに対応するか
  • ⑦法的な立て付けと契約形態:どの契約形態で、指揮命令を誰が持ち、行政の許可や届出が要るか

4手段×7軸の比較マトリクス

以下は4つの外部活用手段を7つの軸で比較したものです。

採用代行(RPO) 人材紹介 人材派遣 採用コンサルティング
①費用の発生タイミング 業務の遂行に対して月額で発生 入社の成立時に発生(成功報酬) 稼働時間に対して発生 業務の遂行に対して月額で発生
②成果責任の所在 合意した業務範囲の遂行に対して負う。(この業務範囲に採用戦略設計が入ることもある)
採用の成立そのものは発注企業と共同で負う
入社が成立しなければ報酬が発生しない設計が中心 稼働の提供に対して負う。採用の成果は発注企業が負う 助言と設計に対して負う。実行の結果は発注企業が負う
③自社にナレッジが残るか 契約次第で設計や戦略、実働方法や設定、仕組みなども残る 候補者情報は残るがそれ以外は残らない 定型業務の手順は残るが、採用の設計は残りにくい 設計そのものが成果物。それ以外は残らない
④立ち上がり速度 業務範囲の設計と引き継ぎに時間を要する 契約に3週間程度。依頼から実際の紹介まで時間はばらつきが存在 人選に時間がかかるが人選が決まれば比較的速い 現状分析から入るため時間を要する
⑤向く採用規模 継続的・複数ポジションの採用 単発・特定ポジションの充足 業務量が読める軽い定型作業 採用体制そのものを見直す局面
⑥向く課題の型 ・工数が足りない
・新たなアクションを増やしたい
・PDCAを回したい
・実務面から戦略をねりたい
成果報酬で採用を進めたい 軽い定型作業の人手が足りない 方針がなく、採用のやり方も全く分からない
支払える予算が潤沢に存在する
⑦法的な立て付けと契約形態 業務委託(請負または準委任)/指揮命令は受託者側/許可・届出は原則不要 職業紹介事業/厚生労働大臣の許可が必要 労働者派遣契約/指揮命令は派遣先/派遣元に許可が必要 準委任/指揮命令は受託者側/許可・届出は原則不要

IMG-03-1 ​​採用の外部活用4手段×7軸 比較マトリクス


費用はいつ発生し、採用の結果は誰が持つのか

採用代行(RPO)と採用コンサルティングは業務の遂行に対して月額で費用が発生し、人材紹介は入社の成立時に、人材派遣は稼働時間に対して費用が発生します。採用が決まらなかったときに誰が経済的な損失を被るのかは4つの手段で異なります。

費用がいつ発生するか(軸①)

採用の外部活用における費用の発生の仕方は、月額固定・成功報酬・時間単価の3類型に分かれます。以下は、4つの手段の費用がいつ・何に対して発生するかを整理したものです。

手段 費用の類型 何に対して発生するか
採用代行(RPO) 月額固定 合意した業務範囲の遂行
採用コンサルティング 月額固定 合意した業務範囲の遂行
人材紹介 成功報酬 入社の成立
人材派遣 時間単価 実際の稼働時間

同じ「外注費」という科目に載っていても、何に対して払っているかが異なります。採用代行(RPO)の費用相場の実額と料金体系の内訳は、採用代行(RPO)の費用相場2026で扱っています。

成果責任は誰が持つか(軸②)

成果責任の所在は、「採用が決まらなかったとき、誰が経済的損失をするのか」で考えると整理できます。人材紹介は、入社が成立しなければ報酬が発生しない設計が中心であり、決まらなかったときの経済的な損失は紹介会社側に生じます。
採用代行(RPO)は、合意した業務範囲の遂行に対して責任を負う契約であり、損失は発注企業側に生じます。
人材派遣は稼働の提供に対して、採用コンサルティングは助言と設計に対して責任を負い、いずれも採用の結果そのものは発注企業が負います。

ただし、成果責任を外部に移せる手段は人材紹介だけである一方、人材紹介では採用実務の工数は減りません。また人材紹介に頼めばすぐに候補者が来るかといえばそういうわけでもありません。
どちらの課題を先に解くのかで、選ぶ手段が変わります。

⚠️ よくある勘違い

「採用代行(RPO)は人材紹介より安い」と思われがちですが、単純に比較できるものではありません。なぜなら、採用代行(RPO)は業務の遂行に対して月額で、人材紹介は入社の成立に対して成功報酬で費用が発生するためです。費用の発生タイミングも、成果責任の所在も異なります。

ではどう比べるか。「1名あたりの総コスト」で並べると、成果責任を負っていない側が常に高く見えます。比べるべきは「その手段が担う業務範囲あたりのコスト」です。具体的には、(1) その手段に任せる業務を工程単位で書き出す、(2) 同じ工程を自社で行った場合の人件費を概算する、(3) その差分と外注費を比べる、という順で見ます。逆にやると、業務範囲の異なるものを金額だけで並べることになります。


外部に任せると、ノウハウは社内に残らないのか

ナレッジが社内に残るかどうかは、アウトソースするサービスの種類で変わります。採用代行(RPO)でも設計次第では採用資産を残すことは可能です。

ナレッジが残る条件(軸③)

外部活用でナレッジが社内に残るかどうかは、契約時に「何を、どの粒度で、どの頻度で受け取るか」を決めているかで変わります。決めておくべき対象は、スカウトの送信対象の定義と返信率、応募から面接までの各工程の通過状況、見送り理由の分類、候補者から出た質問の傾向などです。これらを定例で受け取り、社内で読み解く担当を置いている企業では、契約が終わったあとも判断基準が残りやすくなります。

逆に、内製のままでもモニタリングをし改善に向けたPDCAの動きをとっていなければ担当者の異動とともにノウハウは失われます。ナレッジの蓄積は、外注か内製かではなく、記録と振り返りの設計の問題です。

どれだけ速く動き出せるか(軸④)

立ち上がり速度は、4つの手段で差があります。人材紹介と人材派遣は、契約に一定時間がかかりますが、依頼内容が固まっていれば比較的速く動き出せます。しかし企業によるところも多く、契約はしたが人材や派遣の紹介が一向にこないことも頻繁におきます。
採用代行(RPO)は、委託する業務範囲の設計と引き継ぎが必要なため、その分キックオフに時間を要します。
採用コンサルティングは現状分析から入るため、最も時間を要すると考えて良いと思います。ただし、この順序は「速いほど良い」を意味しません。立ち上がりが速い手段ほど、課題の構造そのものには手が入らないためです。

⚠️ よくある勘違い

「外部に出すとノウハウが社内に残らない」と言われることがありますが、残るかどうかは契約形態では決まりません。なぜなら、ナレッジが蓄積されるのは、業務を誰が実行したかではなく、実行の過程で得られた情報が記録され、社内で読み解かれたときだからです。

ではどうするか。契約前に、受け取るレポートの項目・粒度・頻度を合意事項として書面に入れるのが良いと思います。また引き継ぎの際に何が残るのかを確認しておくべきです。例えば弊社の「とくもり採用代行」では各種契約媒体、候補者情報、ATS環境、採用ファネルごとのモニタリング環境、母集団形成から候補者対応におけるオペレーション(利用中のシートやオペレーションマップ、対応ステップ表等)をお渡ししております。

また、業務に関しては AI を使うこともありますので、その際に効率化をするための Gems やSkills等をそのままお渡しすることとしております。


4つの手段は、契約形態と法的な立て付けがどう違うのか

採用代行(RPO)は業務委託(請負または準委任)、人材派遣は労働者派遣契約、人材紹介は許可制の職業紹介事業、採用コンサルティングは準委任です。指揮命令を発注者が持てるのは人材派遣だけで、業務委託で発注者が直接指示を出すと偽装請負に該当するおそれがあります。

以下は、4つの手段の契約形態・指揮命令の所在・行政の許可の要否を整理したものです。

手段 契約形態 指揮命令を持つのは 行政の許可
採用代行(RPO) 業務委託(請負または準委任) 受託者 原則不要
人材紹介 職業紹介事業 ―(雇用のあっせん) 厚生労働大臣の許可が必要
人材派遣 労働者派遣契約 派遣先(発注者) 派遣元に許可が必要
採用コンサルティング 準委任 受託者 原則不要

業務委託(請負・準委任)と偽装請負

業務委託とは、業務の遂行または完成を外部に委ねる契約の総称です。請負と準委任に分かれ、採用代行(RPO)と採用コンサルティングはこの形態をとります。業務委託では、受託者のスタッフに対する指揮命令は受託者が持ちます。

偽装請負とは、契約上は業務委託でありながら、実態として発注者が受託者のスタッフに直接指揮命令している状態です。労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分については、厚生労働省が基準を示しています[3]。契約書の形式ではなく実態で判断されるため、業務委託の契約書があることをもって問題がないとは言えません。

労働者派遣は指揮命令を発注者が持つ

人材派遣(労働者派遣)は、4つの手段のなかで唯一、発注者(派遣先)が指揮命令を持つ形態です。ただし、労働者派遣は労働者派遣法の規律を受け、派遣元には厚生労働大臣の許可が必要です[2]。「直接指示を出せるから派遣にする」という理由だけで選ぶと、派遣法上の要件を満たせない運用になるおそれがあります。

職業紹介事業は許可制

人材紹介(職業紹介事業)は、職業安定法に基づく許可制の事業であり、有料職業紹介事業を行うには厚生労働大臣の許可が必要です[1]。発注前に、許可の有無を事業者のWebサイトや提案資料で確認できます。採用代行(RPO)と採用コンサルティングは、業務委託として行われる限り、原則として許可や届出を要しません。

スカウト送信を外部に委託するときの論点(委託募集)

委託募集とは、企業が自社の募集業務を第三者に委託することです。職業安定法36条の規律に関わります。採用代行(RPO)にスカウト送信を含める場合、候補者への直接的な勧誘を外部が行うため、委託募集に該当するかという論点があります[1]。適用の有無は業務の実態によって変わります。発注前に、委託する業務に募集行為が含まれるか、含まれる場合に受託者側がどう整理しているかを確認しておくことをおすすめします。

最終的な法令適合の判断は、社会保険労務士や弁護士にご確認ください。本記事は発注前に確認すべき論点を整理するものです。

■ 7つの軸を、自社に当てはめてみる

ここまでで、4つの手段を比べる7つの軸を示しました。次に必要なのは、自社の課題がどの型に当てはまるかを決めることです。

自社にはどの手段が合うのか

自社の課題が〈工数が足りない/やり方が分からない/成果報酬で安全にはじめたい/定型作業の人手が足りない〉のどれかで、選ぶ手段は絞れます。「工数が足りない・やり方がわからない」なら採用代行(RPO)、「やり方が分からない」なら採用コンサルティング、「成果報酬で安全にはじめたい」なら人材紹介、「軽い定型作業の人手」なら人材派遣です。

4つの分岐で決まる(判断フローチャート)

採用・人材活用でどの手段を選ぶかは、次の4つの分岐を上から順に判定すると絞り込めます。上の分岐で手段が確定した場合はそこで終了し、「はい」の場合のみ次の分岐へ進みます。

分岐 判定する問い 手段が確定する条件と、そのときの手段
分岐1 当該業務を、正社員の採用で対応する方針ですか? いいえ → 人材派遣 OR 業務委託(定型作業・切り出せる業務の人手を、指揮命令下または委託で確保する)
分岐2 正社員採用に本格的に取り組む方針ですか? いいえ → 人材紹介(成果報酬型で、費用リスクを抑えながら候補者の推薦を受ける)
分岐3 求める人物像と選考基準が、社内で言語化されていますか? いいえ → 採用コンサルティング / 戦略設計を含めたRPO(採用戦略や要件の設計から着手する)
分岐4 スカウト送信・日程調整・応募者対応・モニタリング・PDCAにあてる工数が社内にありますか? いいえ → 採用代行(RPO)(採用実務の遂行を外部に委託する)/はい → 社内対応(外部活用を行わず、自社の体制で運用する)

この順番で判定するポイントは、まず「そもそも正社員採用で解決する課題なのか」を確認したうえで、正社員採用に取り組むのであれば、採用へのスタンス → 採用設計の有無 → 社内リソースの順に確認することです。

たとえば、正社員採用そのものに本格的に取り組まないのであれば、成果報酬型で候補者の推薦を受けられる人材紹介が選択肢になります。一方、本格的に採用する場合でも、求める人物像や選考基準が定まっていなければ、実務を動かす前に採用コンサルティングや戦略設計を含むRPOによって設計から着手する必要があります。

人物像や選考基準まで言語化できている場合は、最後に「採用活動を継続的に回すための工数が社内にあるか」を確認します。スカウト送信や応募者対応、日程調整だけでなく、数値のモニタリングやPDCAまで十分に回せない場合は、採用代行(RPO)を活用するのが選択肢です。

なお、業務委託や人材派遣の場合は、活用後も自社側でのマネジメントやモニタリングが必要です。一方、RPOは採用業務そのものの遂行を外部に任せられるため、社内のマネジメント工数が不足している企業にとっても活用しやすい手段といえます。

IMG-03-2 自社に合う外部活用手段を選ぶ判断フローチャート

求める人物像の言語化・実務の工数・即戦力の緊急度・定型作業の人手という4つの分岐を上から順に判定し、採用コンサルティング/採用代行(RPO)/人材紹介/人材派遣のいずれかに絞り込む判断フローチャート。対象は新卒・中途の双方

向く採用規模(軸⑤)

採用の外部活用は、採用規模によっても向き・不向きが分かれます。採用代行(RPO)は、複数のポジションを継続的に採用する場合に向きます。委託する業務範囲の設計に初期コストがかかるため、採用が単発で終わる場合は設計の負担が相対的に重くなります。人材紹介は、特定のポジションを単発で充足する場合に向きます。人材派遣は、業務量が読める定型作業に向きます。採用コンサルティングは、採用体制そのものを見直す局面に向きます。

「工数が足りない」と「やり方が分からない」は同時に起きる

採用がうまくいっていない企業では、「工数が足りない」と「やり方が分からない」の両方が同時に起きていることが多くあります。両方に当てはまる場合、どちらを先に解くかで発注先が変わります。やり方が定まらないまま実務だけを外部に委託すると、判断基準のない状態で量だけが積み上がります。逆に、設計だけを整えて実行する人がいなければ、提言は資料のまま残ります。

見分け方は、直近の選考で見送りになった候補者について、見送り理由を社内の複数名が同じ基準で説明できるかどうかです。説明できるなら、やり方は定まっており、課題は工数の側にあります。説明が人によって割れるなら、まず設計の側から着手する必要があります。
また弊社のとくもり採用代行もそうですが、戦略を担える RPO企業 もありますので、戦略と実務を一気通貫で頼むことも選択肢の一つと思われます。

手段が決まったあとの発注先の選び方は、採用代行(RPO)の選び方15項目で扱っています。


4つの手段は、併用できるのか

採用代行(RPO)・人材紹介・人材派遣・採用コンサルティングの4つの手段は排他ではなく、併用が前提です。併用するときに最初に決めるべきは、どこまでを誰が持つかの境界線であり、これを決めないまま複数社に発注すると、責任の所在が消えます。

よくある併用パターン

採用の外部活用でよく見られる併用の型は2つあります。1つは、採用代行(RPO)と人材紹介の併用です。スカウト送信や応募者対応といった実務を採用代行(RPO)が担い、自社では接点を持てない層の候補者を人材紹介から受ける形です。もう1つは、採用コンサルティングと採用代行(RPO)の併用です。採用要件と選考フローの設計をコンサルティングで固め、固まった設計に沿った実務を採用代行(RPO)が回す形です。直近では採用戦略の設計ができる RPO もありますので、重複を一つのアウトソースで解消する事例も増えております。
いずれも、業務範囲が重ならないように分けることが前提になります。

最初に決めるべきは境界線

複数の手段を併用する場合、最初に決めるべきは「どこまでを誰が持つか」の境界線です。以下は、発注前に決めておく必要がある3点と、決めないまま進めた場合に起きることを整理したものです。

決めるべきこと 決め方 決めないまま進めると
候補者との連絡窓口をどちらが持つか 候補者から見た窓口を1つにする 同じ候補者に複数社から連絡が入る
選考の合否判断をどの時点で自社に戻すか 書類・一次・二次のどこで戻すかを工程で指定する 判断の保留が続き、候補者の離脱につながる
候補者情報をどちらのシステムに置くか 正本を置く側を1つに決める 記録が二重化し、契約終了後に情報が残らない

境界線が曖昧なまま複数社に発注すると、どちらも動いていない工程が生まれ、進捗が止まった理由を誰も説明できない状態になりやすくなります。

境界線は、業務の名称ではなく工程で引くと機能します。「スカウトは採用代行(RPO)」といった名称単位の分け方では、スカウト返信後の日程調整をどちらが持つかが決まりません。応募から入社までの工程を書き出し、1工程ごとに担当を1つだけ置いてください。


外部活用のゴールはどこに置くべきか

採用の外部活用のゴールは、外部依存の卒業です。採用チャネルの4段階とは、企業の採用チャネルを〈第1段階:エージェントのみ/第2段階:スカウト媒体とエージェントの併用/第3段階:スカウト媒体+リファラル/第4段階:自社タレントプールとリファラル中心〉の4つの段に分けて捉える枠組みです。

採用チャネルの4段階とは

採用チャネルの4段階は、企業が候補者と接点を持つ経路が、外部への依存からどのように移っていくかを示す枠組みです。前提として、3つの用語を定義します。タレントプールとは、過去に接点を持った候補者の情報を、将来の採用に向けて自社で蓄積・管理する仕組みです。ダイレクトリクルーティングとは、企業が候補者に直接アプローチして採用する手法です。リファラル採用とは、自社の社員からの紹介によって候補者と接点を持つ採用手法です。

  • 第1段階:エージェントのみ。人材紹介から推薦された候補者とだけ接点を持つ段階です。接点を持てるのは、転職・就職を決めている顕在層に限られます。
  • 第2段階:スカウト媒体とエージェントの併用。ダイレクトリクルーティングを開始し、企業から候補者へ直接声をかける段階です。まだ動き出していない潜在層まで接点が広がります。
  • 第3段階:スカウト媒体+リファラル。リファラル採用を組み合わせ、すぐには転職しない候補者との関係を長期に維持する段階です。潜在層を時間をかけて顕在化させます。
  • 第4段階:自社タレントプールとリファラル中心。自社で蓄積したタレントプールとリファラル採用が中心になる段階です。採用広報を活用し、空きポジションが出た時点でプール内の候補者と連動させます。

移行期間の目安

採用チャネルの4段階を移るには、段ごとにまとまった期間が必要です。〈新卒・中途 双方〉を対象として、第1段階から第2段階へは1〜2年、第2段階から第3段階へは2〜3年、第3段階から第4段階へは3年以降が目安です。
この3件の年数は〈ある段階から次の段階へ移行するまでにかかる年数〉であり、自社の採用規模・体制・業界・採用体制によって変わります。

外部活用のゴールを外部依存の卒業に置く理由は、段が上がるほど、1名あたりの採用にかかる外部費用の構造が変わるためです。ただし、第4段階が常に正解ではありません。採用の頻度が低い企業では、第1段階や第2段階にとどまる方が合理的な場合があります。

IMG-03-3 採用チャネルの4段階

いま自社がどの段にいるかを特定する

自社が採用チャネルの4段階のどこにいるかは、直近1年の入社者が、どの経路から来たかで判定できます。人材紹介経由が大半であれば第1段階です。スカウト媒体からの直接応募が一定数含まれていれば第2段階です。社員紹介による入社が継続的に発生していれば第3段階です。過去に接点を持った候補者への再アプローチから入社が生まれていれば第4段階です。複数の段にまたがる場合は、最も件数の少ない経路ではなく、大半を占める経路で判定してください。


それぞれの手段で、企業は何を失敗するのか

採用代行(RPO)・人材紹介・人材派遣・採用コンサルティングの4つの手段には、それぞれ典型的な失敗の型があります。採用代行(RPO)は丸投げ、人材紹介は要件の未確定、人材派遣は業務範囲の曖昧さ、採用コンサルティングは提言が実行に移らないことです。

以下は、4つの手段それぞれの典型的な失敗の型と、避けるための着眼点を整理したものです。

手段 典型的な失敗 避けるための着眼点
採用代行(RPO) 方針がないままの実働だけの基準を渡さない丸投げ 定例で見送り理由を共有し、基準を更新し続ける
人材紹介 要件が固まらないまま依頼 / 紹介会社の活性化において有効なアクションが取れない 必須要件と歓迎要件を分け、見送り理由を返す / 紹介会社のモチベーションポイントの把握と実働強化のアクション実施
人材派遣 業務範囲が曖昧なまま稼働を始める / マネジメントができず、うまく実働できない 稼働開始前に業務を工程単位で書き出す / モニタリングとマネジメントを実施する
採用コンサルティング 提言は出たが実行する人がいない 契約時に実行者と実行期間を決めておく

採用代行(RPO)の典型的な失敗

採用代行(RPO)で最も多い失敗は、採用方針や判断基準を渡さないまま実務を任せる、いわゆる丸投げです。方針や判断基準がない状態では、スカウトの送信数や応募数といった量は出ても、要件に合う候補者の割合が下がりやすくなります。定例で見送り理由を共有し、基準を更新し続ける運用にしておくと、この状態を避けやすくなります。

人材紹介の典型的な失敗

人材紹介で多い失敗は、求める要件が固まらないまま依頼することです。要件が曖昧なまま依頼すると、推薦そのものが来ない状態か、推薦は来るが見送りが続く状態のどちらかになりやすくなります。必須要件と歓迎要件を分け、見送り理由を紹介会社に返す運用にすると、推薦の精度が上がる余地があります。
また、エージェントを利用する際に活性化の方法をうまく知らないと、エージェントが全く動かないということもあり得ます。

人材派遣の典型的な失敗

人材派遣で多い失敗は、業務範囲が曖昧なまま稼働を始めることです。範囲が曖昧だと、期待していた成果と実際に依頼できる業務がずれやすくなります。加えて、業務範囲の曖昧さは、指揮命令の範囲の曖昧さにもつながります。稼働開始前に、担当してもらう業務を工程単位で書き出しておくことをおすすめします。
さらに派遣の方は事務職が多いため、マネジメントの工数を取り、モニタリングをしないとうまく稼働が進んでいかないということがあります。

採用コンサルティングの典型的な失敗

採用コンサルティングで多い失敗は、提言は出たものの、実行する人が社内にいない状態です。設計が成果物である以上、実行体制とセットで考えなければ、資料だけが残りやすくなります。契約の時点で、提言を誰がどの期間で実行するかを決めておくと、この状態を避けやすくなります。実行の担い手が社内にいない場合は、採用代行(RPO)との併用、もしくは戦略を担える採用代行(RPO)に、一気通貫でお願いすることを検討した方が良いです。


まとめ

採用代行(RPO)・人材紹介・人材派遣・採用コンサルティングの4つの外部活用手段は、費用の発生タイミング・成果責任の所在・ナレッジの残り方・法的な立て付けが異なります。自社の課題を〈工数が足りない/やり方が分からない/今すぐ即戦力が必要/定型作業の人手が足りない〉のどれかに分類すれば、手段は絞れます。

この記事の結論は4点です。

  1. 4つの手段は「何をアウトソースするか」で分かれます。採用代行(RPO)は採用実務の遂行を、人材紹介は候補者を、人材派遣は労働力を、採用コンサルティングは設計と助言をアウトソースするサービスです。
  2. 費用の高い・安いだけで比べると判断を誤ります。費用の発生タイミングと成果責任の所在が手段ごとに異なるため、比べるべきは、その手段が担う業務範囲あたりのコストです。
  3. 契約形態によって、指揮命令を誰が持つかが変わります。指揮命令を発注者が持てるのは人材派遣だけで、業務委託で発注者が直接指示を出すと偽装請負に該当するおそれがあります。
  4. 4つの手段は排他ではなく、併用が前提です。併用する場合は、どこまでを誰が持つかの境界線を、工程単位で先に決めてください。

出典一覧

[1] 職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第三十条(有料職業紹介事業の許可)/第三十六条(委託募集) e-Gov法令検索(デジタル庁) https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000141 ※本文での参照箇所:職業紹介事業の許可制(H2-5「職業紹介事業は許可制」)、委託募集(同「スカウト送信を外部に委託するときの論点」)

[2] 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(労働者派遣法・昭和六十年法律第八十八号)第五条(労働者派遣事業の許可) e-Gov法令検索(デジタル庁) https://laws.e-gov.go.jp/law/360AC0000000088

[3] 厚生労働省「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年労働省告示第37号/最終改正 平成24年厚生労働省告示第518号) https://www.mhlw.go.jp/content/000780136.pdf ※本文での参照箇所:偽装請負の判断基準(H2-5「業務委託(請負・準委任)と偽装請負」、FAQ Q5)

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